ネーム交換はたのしい!#おたく楽しい
この記事はしきさん(@shikishaa) 主催の #おたく楽しい への参加エントリになります。
#おたく楽しい Advent Calendar 2016 - Adventar
ここでも再三言っておりますが私はドルヲタである以前に漫画アニメゲーム好きの二次オタでして、自分で漫画を描くのが大好きです。
漫画を描くというのは非常に奥が深くて楽しい趣味です。
物語を考え、キャラクターを考え、作画をする、なんでも屋要素があるのですが
だからこそ「漫画が好き」という趣味の人にも、作画が好きな人、話を考えるのが好きな人、いろんな人がいます。
日本には漫画を愛する人がたくさんいますが、描く人の数だけ違う作品があってめちゃくちゃおもしろいです。
当たり前みたいな事を言っていますが、実際に描く人たちと交流があるとしみじみ思う事なんです。
その人の人柄や考え方がこんなに直結する趣味、他に見たことがありません。
私が描いているのは書店に売られているものではなく、自費で印刷して即売会で売る「同人誌」というのもですが
それを「コミティア」というイベントで売ります。
コミティアはざっくり言うとオリジナル作品に限定した同人誌の販売、作品の展示を出来るイベント。基本年4回(+地方)あります。
プロもアマもいっぱいいますし、本だけじゃなくて雑貨とかもあるので一般で参加するのもめちゃくちゃおもしろいよ!!
このイベントで私は友達と一緒に「ネーム交換本」というのをたまに出しています。これがね~~めちゃくちゃ楽しいんです!!
大変だけど、すごく勉強になる!!
漫画を描くにあたり、基本的な手順は
プロット(設定やストーリーの流れを決める)
↓
ネーム(プロットを画面に起こす。コマを割る)
↓
作画(下書き、ペン入れ、ベタトーンなど)
って感じです。超ざっくりなのでわからない人は
「初心者漫画講座!」みたいなサイトめちゃくちゃあると思うんで各自検索してください。
これを、プロット、ネームまでやって、作画を他の人にやってもいます。
見てもらった方が早い!!こういうの!!!
「ひみつ」をテーマにした合同誌です!!
前述した通り、ネームが好きな人もいれば作画が好きな人もいるので
各自が与えられたネームで試行錯誤するのがも~~~めちゃくちゃ難しくて、めちゃくちゃおもしろいんです。
長いこと漫画を描いていると、自分の中のパターンがある程度決まってきてしまうので、自分の引き出しにないネームを与えられると新しく考えたり探したりしなきゃいけなくて、たくさんの発見があります。
先ほどの「ひみつ」の本の次に出した本のテーマは「王子さま」でした。
各々ネームをきります。誰が誰のネームを描くかはあみだくじで決めました。
メンバーが7人という大所帯という事もあり、ページ数を少なめに設定しなければいけなくて、私は悩んだ末にファンタジーではなく学園ものにしました。
「美しい同級生は、クラスの女子から王子さま扱いされていて、まぁ自分とは関係ないかな~と思っていたら背中から羽らしきものが生えてきている所を目撃してしまい…?彼は天使なのか…?」
という、最終的に王子設定は何処に行った?という話を書きました。
うわ絵が上手い…最高…
私は絵が下手なのが昔からずっとずっとコンプレックスで、どちらかというとネームを頑張りたいタイプです。
だから自分のネームを絵が上手い友達に描いてもらえる…それって最高では?(最高です)
コマ割とか台詞の配置や言い回しだけで随分印象が変わりますよね。
そういう部分にも各自、自分の癖があるので、そこに着目して比べるだけで滅茶苦茶楽しい。
こんな丸投げのネームをこんなに美しく描いてもらえる…!!最高…!!
ラストになるにつれて、作画担当の友達が結構テコ入れしてくれたので
ネーム時点とは読み味の違うものになりました。こういうのがおもしろいところです。
逆パターンで絵の上手い友達のネームを自分が作画しなきゃいけない時は控えめに言って地獄ですが、それでも友達にがっかりしてほしくないので
自分が出来る工夫をめちゃくちゃに盛り込んで頑張ります。
今回私が作画を担当したのはなんずよさんという友達が描いたネーム。
ざっくり言うと、なんずよさんのネームは
「観光名所である町に浮かぶ城。そこで父である王様に内緒で地上に遊びに来た王子。バレて罰として地上で生活させられ、城もどこかにいってしまった。そして突然戻ってきた王様から告げられた真実とは…」
みたいな話です。
なんずよさんのネームはシュールギャグやシニカルシリアスの様な内容が多くて
リリカルポエム系や自己完結メリバをよく描く自分にはぜっっったい思いつかない話で、
王様は実は宇宙人だったわけですが、そもそも宇宙人のことを真面目に考えたことがなかったので死ぬほど悩みました。
ネーム担当のなんずよさんと直接話して、あえて台詞で描かれていない色々な設定を聞きました。
・この王様は宇宙人で、実の親子関係ではないこと
・本当の両親は、実は従者のおじさんと女の人であること
・それを全て王子は知らないこと。洗脳にかかっていること。
・母親は全てを知っている事。
ネーム担当の友人は意図があって描かなかったのかもしれませんが、
私はそこがわかった方がこの漫画はおもしろいんじゃないかな~~と思いました。
なのでその部分を伝える為、どうにかわかりやすくできないか試行錯誤します。
私がここでした工夫は、
・「王様は宇宙人で王子は人間なので実の親子ではない」、という設定なので見た目を人外だと一目でわかるようにした
・実の親子という設定を臭わせる為に容姿や台詞の言い回しを変えた
・王子は洗脳で宇宙人を自分の父親だと思っているので、子供が親に怒られてるような、よりムッとした表情にした
という点です。
(予断ですが、王様のデザインに迷いすぎて参考になるかと思いダリ展を観にいきましたが、特に宇宙要素は無く普通に展示鑑賞して帰ってきました。)
普通にもらったネームに忠実に描くのも勉強になるのですが、
ネーム交換は何度か経験していることなので、更に楽しむために
自分なりに噛み砕いて工夫して
「こういう風に描いたらわかりやすいです!!」
「こういう表現もあります!!!」っていうのを詰め込みます。
ネームを自身で書いていると「この設定は説明した方がいいのか?いっそ書かないほうがいいのか?」など迷いが生じることがあります。
そこを第三者の視点で聞いてから作画できるので、自分のネームより客観的に見れるので表現に工夫がしやすいのもネーム交換のおもしろさのひとつです。
漫画の表現には正解がないからこそ自由に出来て楽しのかもしれませんね!
そんな感じで出来たのがこの本。まだちょろちょろ売るから、コミティアに来る機会があったら見てみてね~~(宣伝)
自分で言うのもなんだけど鬼才が集ってるのでバラエティ豊かで読み応えあります。
最後になりますが、漫画ってほんとに楽しい趣味です。
それと同時に苦しいものでもあります。
その形は人により様々だと思いますが、
私が感じる楽しさは己の感情や空想を図解することにより他者に伝えることが出来る事、
また、その為に己と向き合って整理整頓していくうちに、自分の感情を紐解くことが出来る点です。
苦しさは、期日に間に合わせる為の労力や、世間にいくらでもいる、技術の達者な人たちと己の力量を比べ、未熟さに打ちのめされる事です。
この苦しみは一生付き合っていかなければいけません。漫画に限った事ではないかもしれませんが…
最近よく見かけるのは「評価されたい、見てもらいたい、でも自分の描きたい物を描いていては評価されない」という意見です。
ネットやSNSが発達して、数字でわかりやすく評価、閲覧数が出てしまうので、多いもの=優秀、少ない物=劣悪、という図式が頭に浮かびやすくなっているように感じます。若い世代ほど特に…
「ベストセラー=唯一無二の傑作」という訳ではなく、とにかく「わかりやすい」ものが目に見える形で評価を受けているのであって、
様々な趣味思考の人達が、そんな数字を気にしないで自分の好きなものを突き詰めて
いわゆる「一部の層向け」作品を極めていけたら、どんなに良いか計り知れませんが
創作する人間にとってそれは難しい問題だという事もわかります。
二次創作では特に、その時の流行ジャンルやタイミングなど、色んな要因で左右されて
数字が気になって本来の「楽しい」から遠のいてしまっている人が私の周りでもちらほら見かけます。
ネーム交換はそういった概念から離れた所にある「自分と相手との対話」というものが大きく、それを「第三者にもわかってもらう為の努力」を経て作品にしていきます。
もちろん「これちゃんと売れるのか…?」っていう不安は、まぁなくはないですが…笑
それ以上に得るものが多く、利害から遠いところにある子供の頃の「漫画ってたのしい!」っていう気持ちにかなり近いところで描いている感覚があります。
何かに詰まっていたり、気分転換してみたい人にもすごくオススメです。
オリジナルじゃなくても、二次創作でやってもすごくおもしろいと思うし、
小説を漫画に、プロットだけもらってそれを小説に…とかもいいとおもいます!私もやってみてぇ~!!
創作は自己との対話ですが、第三者の意見が入る事で描ける視野が一気に広がっていきます。
是非一度!やってみてください!
最後までやるコツは「イベントで発行する(締め切りを決める)」ことです!これがないと一生完成しません笑
偉そうなことを色々書きましたが、ほんとにたのしーので、是非やってみてください!!!
自分のコマ割り、相手の台詞回し
自分のカメラワーク、相手の見せ場の配置…
楽しい発見がいっぱいありますよ!!!
では、楽しいおたカツを!